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消化器系について

こんにちは 鍼灸師の大久保丈経です。

今回は消化器系について書いていきます。

 

目次

消化器系全体の配置と繋がり/ソース:Chris Gorgio

消化器系は、体内に取り入れた食物を分解(消化)し、

必要な栄養素と水分を吸収して、

残りを排出するまでの一連の臓器ネットワークです。

一本の長い管(消化管)と、

それを助ける消化腺(肝臓や膵臓など)で構成されています。

 

 

1. 消化管の流れと主な役割

 

食物は口から入り、次の順番を通って体外へと排出されます。

 

①口腔・咽頭・食道

咀嚼と運搬

歯で噛み砕き(咀嚼)、唾液(アミラーゼ)と

混ぜ合わせてデンプンを分解し始めます。

飲み込まれた食物は、

食道の筋肉の動き(蠕動運動)によって胃へ運ばれます。

 

 

②胃

殺菌と一時貯蔵

強い酸性の胃液(塩酸やペプシン)を分泌し、

食物の殺菌とタンパク質の初期分解を行います。

食物をかゆ状に混ぜ合わせ、少しずつ小腸へ送ります。

 

 

③小腸(十二指腸・空腸・回腸)

本格的な消化と吸収

全長約6mの器官で、消化と栄養吸収の中心です。

膵液や胆汁を混ぜ合わせて三大栄養素を完全に分解し、

内壁にある微絨毛から大部分の栄養分と水分の約80%を吸収します。

 

 

④大腸・直腸・肛門

水分吸収と形成・排出

残ったカスからさらに水分を吸収し、便を形成します。

腸内細菌が食物繊維を分解する場でもあります。

完成した便は直腸に溜まり、肛門から排出されます。

 

 

2. 消化を助ける「消化腺・付属器官」

 

消化管の途中で消化液を分泌し、分解を協力して行う器官です。

 

・器官

主な働き

 

・肝臓

胆汁の生成(脂質の消化を助ける)、

栄養素の代謝・貯蔵、毒素の解毒作用。

 

・胆嚢

肝臓で作られた胆汁を一時的に濃縮・蓄積し、

食事に合わせて十二指腸へ分泌。

 

・膵臓

膵液の分泌

(糖質・タンパク質・脂質すべてを分解する強力な消化酵素群を含む)

 

 

 

 

 

 

 

三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)の消化吸収について

三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)は、

消化酵素の作用によって徐々に小さな分子へと切断(加水分解)され、

主に小腸の絨毛から吸収されます。

それぞれの分解プロセスと吸収ルートは大きく異なります。

 

三大栄養素の分解と吸収プロセス

 

1) 炭水化物(糖質)

主な分解ステップと酵素/ 口腔:唾液アミラーゼ

小腸:膵アミラーゼ(デンプン→オリゴ糖・マルトース)

小腸微絨毛膜:マルターゼ・スクラーゼ・ラクターゼ

最終分解物/ 単糖類

(グルコース、フルクトース、ガラクトース)

吸収ルートと運搬/ 小腸上皮細胞 → 毛細血管 → 門脈 → 肝臓へ

 

 

2) タンパク質

主な分解ステップと酵素/ 胃:ペプシン(塩酸で活性化、大まかに分解)

十二指腸・小腸:トリプシン・キモトリプシン・カルボキシペプチダーゼ

小腸微絨毛:アミノペプチダーゼ

最終分解物/ アミノ酸、ペプチド(ジペプチド・トリペプチド)

吸収ルートと運搬/ 小腸上皮細胞 → 毛細血管 → 門脈 → 肝臓へ

 

 

3) 脂質(中性脂肪)

主な分解ステップと酵素/ 十二指腸:胆汁酸による乳化(消化しやすい形にする)

小腸:膵リパーゼ(脂肪を分解)

最終分解物/ 脂肪酸、モノグリセリド

吸収ルートと運搬/ 小腸上皮細胞内で乳び滴(カイロミクロン)に

再合成 → リンパ管 → 静脈へ

 

 

吸収ルートの大きな違い

 

消化された栄養素は、その性質(水溶性か脂溶性か)によって

体内へ入るルートが分かれます。

 

毛細血管 ➔ 門脈 ➔ 肝臓ルート(水溶性栄養素)

対象: 単糖類、アミノ酸、水溶性ビタミンなど

小腸で吸収された後、門脈と呼ばれる太い静脈を通って

直接肝臓に運ばれます。

肝臓で代謝・加工・貯蔵された後、全身へ供給されます。

 

リンパ管 ➔ 胸管 ➔ 静脈ルート(脂溶性栄養素)

対象: 脂肪酸・モノグリセリド、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)

小腸の上皮細胞に入ると一度「中性脂肪」に再合成され、

タンパク質などで包まれた微粒子(カイロミクロン)になります。

サイズが大きいため毛細血管に入れず、

中心乳び管(リンパ管)を通って全身の静脈へと合流します。

 

 

 

 

 

 

 

 

消化器系疾患について

消化器系疾患は、病気が発生する「部位(臓器)」や

「原因・病態」によって多岐にわたります。

主な疾患を臓器別および病態別に分類してまとめました。

 

1. 臓器別の主な疾患

 

① 上部消化管(食道・胃・十二指腸)

・逆流性食道炎(GERD)

胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、

食道粘膜に炎症を起こす病気。

胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状(胃酸逆流)が特徴です。

 

・胃炎・胃十二指腸潰瘍

胃酸やヘリコバクター・ピロリ菌感染、

NSAIDS(解熱鎮痛薬)の副作用などにより、

粘膜が傷つき深くまでえぐれる病気。

みぞおちの痛みや胃もたれ、進行すると吐血や下血を起こします。

 

・胃がん・食道がん

早期は無症状のことが多く、

進行すると梗塞感(つかえ感)や体重減少、出血症状が現れます。

 

 

② 下部消化管(小腸・大腸)

・潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性腸疾患:IBD)

免疫機能の異常などにより、

腸粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる難病。

下痢、血便、腹痛が長期にわたって慢性的に続きます。

 

・大腸ポリープ・大腸がん

大腸粘膜に生じる隆起。

ポリープの一部は時間が経つとガン化します。

血便や便秘・下痢の不規則な繰り返し、

便が細くなるなどの症状が出ます。

 

・急性急性腸炎(感染性胃腸炎)

ウイルス(ノロウイルスなど)や

細菌(カンピロバクター、サロモネラなど)に感染して起こる

腹痛・下痢・嘔吐・発熱。

 

・過敏性腸症候群(IBS)

検査で腸に腫瘍や炎症などの異常が見つからないにもかかわらず、

ストレスや自律神経の乱れで便秘や下痢、腹痛を繰り返す状態。

 

③ 肝臓・胆のう・膵臓(付属器官)

・脂肪肝・NASH/MASH(非アルコール性ステアトヘパティス)

肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態。

慢性的な炎症が続くと肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあります。

 

・肝炎(ウイルス性・アルコール性)

B型・C型などの肝炎ウイルスや

過度の飲酒により肝細胞が破壊される病気。

 

・胆石症・胆のう炎

胆汁の成分が固まって石(胆石)になり、

胆のうや胆管に詰まることで発症。

右肋骨の下やみぞおちの激痛、発熱、

黄疸(皮膚や目が黄色くなる)が起こります。

 

・急性・慢性膵炎

アルコールの過剰摂取や胆石などが原因で

膵液が自らの組織を消化・破壊してしまう病気。

背中まで突き抜けるような強い上腹部痛が特徴です。

 

2. 受診の目安となる症状(レッドフラッグサイン)

 

以下のような症状がある場合は、

消化器内科や内視鏡クリニックなどを早めに受診することが推奨されます。

 

・黒い便(タール便)や鮮血便が出る

・便秘や下痢が急に始まり数週間持続する

・食物が引っかかるようなつかえ感がある

・激しい腹痛や背部痛、吐血がある

・原因不明の体重減少や皮膚・白目の黄色化(黄疸)が見られます

 

 

 

 

 

 

 

 

逆流性食道炎について

逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、

粘膜を傷つけることで起こります。

 

原因の多くは、

「胃圧の上昇」

「下部食道括約筋(胃の入口の弁)の緩み」

「食道粘膜への過度な刺激」です。

 

生活習慣と食事を見直すことで、症状を大幅に予防・軽減できます。

 

1. 食事の工夫・避けたい食べ物

 

控えたい食べ物・飲み物

・脂肪分の多い食事

揚げ物、肉の脂身、洋菓子など。

(消化に時間がかかり、脂肪を分解するホルモンが胃の弁を緩めます。)

 

・胃酸分泌を高めるもの

柑橘類、トマト、濃いコーヒー・紅茶、香辛料、チョコレート

 

・腹圧をかける・刺激を与えるもの

アルコール、炭酸飲料(胃が膨らんで圧力が上がります。)

 

食べ方のポイント

・腹八分目を心がける

食べ過ぎは胃の内圧を高め、逆流を直接引き起こします。

 

・よく噛んでゆっくり食べる

唾液に含まれる成分が胃酸を中和し、食道粘膜を守る働きがあります。

 

 

2. 生活習慣・姿勢の工夫

 

①. 食後3時間は横にならない

・胃酸の逆流を物理的に防ぐ

食後は胃酸の分泌が最も活発になります。

食後すぐに横になると重力が使えず胃酸が食道へ流れるため、

食後のデスクワークや散歩など体を起こした状態を保ちます。

 

②. お腹を締め付けない衣類を選ぶ

・物理的な圧迫を減らす

ベルトの締めすぎ、コルセット、きつい下着や

ジーンズは腹圧を上げ、胃の内容物を上に押し押し出してしまいます。

 

③. 寝るときの姿勢を工夫する(左下・頭を高く)

 

・就寝中の逆流を防ぐ

 

④. 適正体重の維持と禁煙

・腹圧低減と自律神経の改善

内臓脂肪が多いとお腹の中から胃が圧迫されます。

また、タバコに含まれるニコチンは

食道の弁を緩める作用があるため、禁煙が推奨されます。

 

 

市販薬・医療機関受診のタイミング

 

セルフケアでも改善しない場合は、

市販の「H2ブロッカー」や「制酸薬」を一時的に活用する手もありますが、

胸やけが数週間続く場合や、喉の違和感・痛みが強い場合は

早めに消化器内科を受診してください。

 

医療機関では、より強力に胃酸を抑える「PPI(プロトンポンプ阻害薬)」や

「P-CAB」などの内服薬が処方されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

過敏性大腸症候群について

過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、

血液検査や大腸カメラなどの検査では

器質的な異常(炎症や腫瘍など)が見られないにもかかわらず、

腹痛や腹部不快感とともに便通異常(下痢・便秘)が慢性的に続く病態です。

 

主な病態原因は、

「ストレス・自律神経の乱れ」「腸管運動の異常」

「内臓知覚過敏」「腸内細菌叢の乱れ」ですが、

便の形状やパターンによって

主に下痢型・便秘型・交互型(混合型)の3タイプに分かれます。

 

1. タイプ別の特徴・原因・対策

 

タイプ/ 下痢型 (IBS-D)

・特徴

泥状〜水様便と激しい腹痛。突発的な便意(特に通勤・緊張時)。

・原因

ストレス等で副交感神経が過剰優位になり、腸管運動が亢進。

消化物が素早く通過するため水分が吸収されない。男性に多い。

 

タイプ/ 便秘型 (IBS-C)

・特徴

硬いコロコロ便、排便困難感、残便感、強い腹張感。

・原因

ストレス等で交感神経が過剰緊張し、腸管の蠕動運動が停止・抑制。

水分の過剰吸収で便が硬くなる。女性に多い。

タイプ/ 交互型 (IBS-M)

・特徴

数日間の便秘のあとに数日間の激しい下痢が起こるなど、

交互に症状を繰り返す。

・原因

自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えスイッチが極端に乱れ、

腸管の収縮と弛緩のコントロールが利かなくなっている。

 

 

2. 全タイプ共通の重要アプローチ:低FODMAP(フォドマップ)食

 

近年の研究で、発酵性の糖質群である

FODMAP(小腸で吸収されにくい短鎖炭水化物)を過剰に摂ると、

大腸で腸内細菌によって急速に発酵してガスを生じさせたり、

小腸に水分を引き込んで腹痛・下痢・便秘を

引き起こしたりすることが分かっています。

 

・Monosaccharides(単糖類:フルクトース)

リンゴ、はちみつ、ハイフノース果糖液糖

 

・Polyols(ポリオール)

キシリトールガム、きのこ類、アボカド、シュガーレス食品

 

※まずは3〜4週間ほど高FODMAP食品を制限し、

症状が改善するかどうか試すアプローチ(低FODMAP食)が

世界中で推奨されています。

 

 

3. 受診時の注意点

 

過敏性腸症候群とよく似た症状を呈する疾患として、

潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)や

大腸がん、甲状腺疾患などがあります。

 

次のような症状(アラームサイン)がある場合は、

単なるIBSと決めつけず、消化器内科で大腸カメラなどの

精密検査を早めに受けるようにしてください。

 

・血便・粘血便が出る

・夜間(就寝中)に便意で目が覚めて下痢をする

・発熱や原因不明の体重減少がある

・50歳以上で初めて症状が出始めたであります

 

 

 

 

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この記事を書いた人

大久保丈経のアバター 大久保丈経 はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格者。
長崎県諫早市出身。趣味はウォーキングと格闘技鑑賞。

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