こんにちは、鍼灸師の加藤正博です。
今回は呼吸器について、書いていきます。
目次
呼吸とは
生命を維持するために必要な酸素を生体内あるいは組織内に取り入れ、代謝の結果生じた二酸化炭素を組織外あるいは生体外に排出する機能を呼吸という。
外界の空気と血液とのガス交換を外呼吸、血液と細胞との間のガス交換を内呼吸といいます。
酸素は肺に吸い込まれ、肺の毛細血管の血液中に拡散します。
そして、血液によって全身の各組織に運搬され、組織の毛細血管から細胞に取り込まれて、エネルギーとして利用されます。
代謝の結果生じた二酸化炭素は
循環血液→肺→呼気中に排出される。
呼吸器系とは
肺による、ガス交換に関わっているものを呼吸器系といいます。
それは気道、肺、胸郭からなっています。
① 気道
肺と外の世界との間の空気の通り道です。
② 肺
胸の辺りの大部分を占めている臓器。
左右に1つずつあり、空気と血液との間でガス交換を行う。
このガス交換に関わるのが、末端にある肺胞です。
多数の毛細血管が周りにあり、それらを介してガス交換を行っています。
③ 胸郭
胸壁と横隔膜からなる。
胸郭は胸腔を拡大、縮小させて呼吸運動に関わっています。
呼吸運動について
呼吸運動とは外気を体内に取り込み、排出することです。
それは吸息、呼息を繰り返す事で行われる。
吸息
脳からの命令で横隔膜と外肋間筋が収縮する。
横隔膜が収縮すると、ドーム状に盛り上がっていた横隔膜が水平になる。
外肋間筋が収縮し、肋骨は挙上する。結果、胸郭が広がり胸腔内圧が下がり、受動的に空気が肺に入る。
呼息
呼息の時には、横隔膜、外肋間筋は弛緩する。
吸息とは逆に横隔膜は広がり、肋骨は下がる。
結果として胸郭が狭まり肺の中の空気が排出される。
これらの、呼吸にかかわる筋肉、横隔膜は神経によって支配されている。
外肋間筋は肋間神経、横隔膜は横隔神経によって支配されており、
事故や病気などにより神経が損傷する事で呼吸が障害される。
呼吸の調節(リズム)
脳幹の延髄の網様体部分には呼吸中枢がある。
この部位で基本的な呼吸リズムが形成されている。
これらの中枢によって作られた呼吸リズムは脊髄から出る肋間神経や横隔神経を介して呼吸筋に伝えられる。
そして、体液(血液、脳脊液)の二酸化炭素、酸素の分圧あるいはpH(身体の酸性、アルカリ性)が変化すると、
化学受谷器を介してその情報が呼吸中枢に伝えられる。
結果、反射性に助間神経と横隔神経の活動が変化して呼吸が調節される仕組みです。
へーリング・ブロイエルの反射について
ヘーリング・ブロイエルの反射とは
肺が吸息により伸のばされると肺の伸展受容器が興奮し、その情報は迷走神経を介して呼吸中枢に伝えられます。
そして吸息中枢を抑制します。
その結果、吸息が抑えられ吸息から呼息に移行すること。
この反射は吸息から呼息への切り換えを促進する。
迷走神経を切断するとこの反射が消失し、呼吸のリズムは遅くなり、吸息が深くなります。
肺の運動は自らの意思でコントロールすることはできません。なので、このような反射が重要な役割を担っています。
呼吸の異常について
呼吸の異常
(1) 頻呼吸・徐呼吸とは
呼吸の深さは変わりません。
頻度(回数)が増加した呼吸を頻呼吸といいます。また、減少した呼吸を徐呼吸といいます。
(2) 過呼吸とは
呼吸の頻度(回数)は変わらず、深さが増加した呼吸を過呼吸という。
緊張や精神的不安、恐怖などを感じた時に起こすことがあります。
(3) チェイン-ストークス呼吸とは
無呼吸から深い呼吸、深い呼吸から無呼吸が繰り返される呼吸のことです。
脳疾患や腎不全(尿毒症)、病気の末期に見られます。
原因 呼吸中枢の機能低下→血液中の酸素が低下する→受容器の反射で活性化させ、
呼吸促進→結果、二酸化炭素が低下して呼吸が抑制されることで無呼吸となる。
(4) ビオー呼吸とは
呼吸数や換気量が不規則になったり、呼吸が突然止まり無呼吸状態がみられる。
またそれが、急に戻ったりするといった状態が現れる。
これら全てが、不規則に現れます。
原因
呼吸中枢のCO₂に対する反応性がほとんど失われた結果だと考えられています。
中枢神経系の疾患があげられます。脳挫傷や脳炎、脳腫瘍などで頭蓋内圧の亢進した時にみられます。
(5) クスマウルの呼吸とは
深く速い呼吸が規則正しく続く呼吸です。呼吸リズムや無呼吸の状態は見られません。
原因
血液中のph(ペーハー)が低下することによって起こる。
換気量を増加して血液中の二酸化炭素を低下させようとする際に見られる。
糖尿病や尿毒症患者など代謝性アシドーシスと呼ばれる人に起こります。
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