こんにちは、柔道整復師の柘植智行です。
今日は、高齢者に多い骨折についてお話しします。
高齢者の骨折とは
高齢者の骨折の多くは加齢に伴う骨強度の低下(骨粗鬆症)と、
筋力・バランス機能の低下による転倒が主な原因で起こる、脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)です。
若い頃には骨折しないような軽い転倒や尻もち、
日常動作でも骨折を発症するのが特徴です。
特に大腿骨近位部骨折は寝たきりにつながる重大な問題であり、社会的な課題となっています。
骨折を契機に活動量が低下すると、
さらなる筋力低下や認知機能の低下を招き、悪循環に陥る危険性があります。
高齢者の骨折の主な原因
• 骨粗鬆症
骨密度が低下し、骨がもろくなる病気(特に女性に多い)。
• 筋力・バランス機能の低下
加齢によりとっさの体勢を立て直す能力が低下し、転倒しやすくなる。
• 転倒リスクの増加
視力・聴力の低下、ふらつきを伴う薬剤の服用、反射神経の鈍化。
• 環境要因
家の中の段差、滑りやすい床、コード類など、日常生活に潜む転倒の危険性。
• 栄養不足
骨に必要なカルシウムやビタミンDの摂取不足。
高齢者の骨折の主な症状
• 激しい痛みと機能不全
骨折部位の強い痛みにより、動作ができなくなる(大腿骨骨折では歩行不能)。
• 変形
手首(橈骨遠位端骨折)や背骨(脊椎圧迫骨折)に特有の変形が生じる。
• 体型の変化
脊椎圧迫骨折が多発すると、背中が丸くなる(円背)ことや、身長の低下が起こる。
• 安静時や鈍痛
圧迫骨折の場合、受傷後も強い痛みではなく、
慢性的な腰背部の鈍痛や違和感として現れることがある。
高齢者に多い4大骨折
・大腿骨近位部骨折(太ももの付け根)
寝たきりの最大の原因。
・脊椎圧迫骨折(背骨)
尻もちや、気づかないうちに発生(いつのまにか骨折)。
・上腕骨近位部骨折(腕の付け根)
転倒で手や肘をついた際に発生。
・橈骨遠位端骨折(手首)
転倒で手をついた際に発生し、特に女性に多い。
高齢者の骨折の対処法・治療法
高齢者の骨折は、早期の治療とリハビリが寝たきり予防に直結します。
治療(早期回復と機能維持)
• 手術療法
大腿骨近位部骨折など、早期離床が必要な場合に選択される。
• 保存療法
安静、ギプスやコルセットによる固定(脊椎圧迫骨折など)。
• 早期リハビリテーション
術後や固定期間中から、筋力低下や関節の拘縮を防ぐため、積極的に行う。
大腿骨近位端骨折について
大腿骨近位部骨折は、太ももの骨(大腿骨)の股関節に近い付け根の部分で起こる骨折です。
高齢者の骨折の中でも最も重要視され、
寝たきり(要介護状態)になる最大の原因とされています。
この骨折は主に、骨粗鬆症により骨がもろくなっている高齢者が、
転倒した際に股関節部に強い衝撃を受けることで発生します。
特に、転倒して横向きに尻もちをついたり、股関節を強打したりした場合に起こりやすいです。
早期に適切な治療(多くは手術)とリハビリテーションを行うことが、
機能回復と社会復帰を果たすために極めて重要です。
大腿骨近位部骨折の主な原因
• 骨粗鬆症
骨密度が低下し、骨が非常に脆くなっている状態。特に高齢女性に顕著です。
• 転倒
屋内(段差、滑りやすい床など)や屋外での転倒が主な受傷原因です。
• 筋力・バランス機能の低下
とっさの時に体勢を立て直す能力が衰えているため、転倒を防げない。
• 視力や認知機能の低下
周囲の危険を認識しにくく、転倒リスクが高まる。
• 大腿骨の構造
股関節に近い部分(特に頚部)は細くなっており、構造上、衝撃に弱い。
大腿骨近位部骨折の主な症状
• 激しい股関節または鼠径部(そけいぶ)の痛み
• 歩行不能
骨折した足を地面につけることができず、自分で立ち上がれない。
• 患肢の異常な肢位
骨折した足が外側に開いて短くなっている(外旋・短縮)ことがしばしば見られる。
• 腫れ・内出血
骨折部位周辺の腫れや内出血。
• 全身状態の悪化リスク
骨折後の安静期間が長引くと、認知症の悪化、肺炎、褥瘡(じょくそう)などの合併症を引き起こし、
そのまま寝たきりになる危険性が非常に高い。
大腿骨近位部骨折の対処法・治療法
大腿骨近位部骨折は、原則として早期の手術療法が推奨されます。
治療(早期離床と機能回復)
• 手術療法
• 骨接合術
骨折部を金具で固定し、骨の癒合を待つ(比較的若い方、骨折のずれが少ない場合など)。
• 人工骨頭置換術
大腿骨の骨折した一部を切除し、人工の関節に置き換える
再発予防
この骨折は再発リスクが高く、
また反対側も骨折しやすい傾向があるため、徹底した予防が必須です。
• 骨粗鬆症の治療と管理
医師の指示に従い、骨密度を高める薬物療法を継続する。
• 転倒予防のための運動
• 下肢・体幹の筋力強化(特に大腿四頭筋、殿筋)
• バランストレーニング(ロコトレなど)により、転倒時の防御反応を高める。
• 生活環境の徹底的な整備
• 自宅内の段差、敷居を解消し、手すりを設置する。
• トイレ、浴室など滑りやすい場所に滑り止めマットを敷く。
• 夜間の移動に備え、足元照明を設置する。
• 栄養の摂取
骨密度維持のために、カルシウムとビタミンDを豊富に含む食品を積極的に摂る。
脊柱圧迫骨折について
脊椎圧迫骨折は、背骨を構成する椎体(ついたい)という骨が、
縦方向の圧力によって潰れてしまう骨折です。
高齢者の骨折の中でも大腿骨近位部骨折に次いで頻度が高く、
特に胸椎(背中の骨)から腰椎(腰の骨)にかけて多く発生します。
この骨折は、主に骨粗鬆症で骨がもろくなっているために起こる脆弱性骨折の一つです。
ひどい転倒だけでなく軽い尻もち、重いものを持ち上げた時、
さらにはくしゃみや寝返りといった日常動作だけでも発生することがあり、
「いつのまにか骨折」とも呼ばれます。
複数の椎体が骨折すると、背骨が大きく曲がり(円背:えんぱい)、
生活機能や内臓機能にも影響が出ることがあります。
脊椎圧迫骨折の主な原因
• 骨粗鬆症
骨密度が低下し、椎体が縦方向の圧力に耐えられなくなることが最大の原因です。
• 軽い外力
椅子から立ち上がろうとしてバランスを崩した、
雪や氷の上で滑って尻もちをついた、といった比較的弱い衝撃。
• 日常動作による過負荷
重いものを持ち上げる、不意に身体をひねる、激しい咳やくしゃみなど。
• 筋力の低下
体幹を支える筋力が衰えていると、背骨への負担が増大する。
• 加齢による骨の変性
椎間板の変性など、背骨全体の構造的な不安定性。
脊椎圧迫骨折の主な症状
• 腰背部の激しい痛み
受傷直後、特に動かした時や体勢を変えた時に強い痛みを感じる。
• 動作時の制限
寝返りや起き上がり、立ち上がり、歩行など、日常生活の動作が困難になる。
• 体型の変化
骨折が治癒した後も椎体が潰れたままになると、背中が丸くなり(円背)、身長が低下する。
• 慢性的な鈍痛
痛みが軽度で、「いつのまにか骨折」した場合は、
受傷後も腰や背中の慢性的な重だるさ、鈍痛として続くことがある。
• 神経症状
まれに骨片が神経を圧迫し、足のしびれや麻痺を引き起こすことがある。
脊椎圧迫骨折の対処法・治療法
脊椎圧迫骨折は、原則として手術をせずに安静と固定で骨の癒合を待つ保存療法が中心となります。
保存療法(急性期〜回復期)
• 絶対安静
痛みが強い急性期は、可能な限り安静を確保する。
• 装具(コルセット)による固定
潰れた椎体のさらなる変形を防ぎ、痛みを軽減するため、
硬性コルセットを装着し、骨の安定化を図る。
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