こんにちは、鍼灸師の大久保丈経です。
今回は東洋医学について書いていきます。
東洋医学とは
東洋医学は、古代中国を発祥とし、
長い歴史の中で発展してきた伝統医学のことです。
日本には5〜6世紀頃に伝わり、
日本の風土や日本人の体質に合わせて独自の発展を遂げました。
西洋医学が、
「病気の原因(ウイルスや病変部)を特定して直接取り除く」
ことを得意とするのに対し、
東洋医学は、
「心身全体のバランスを整え、人が本来持つ自己治癒力を高める」
ことを重視します。
東洋医学の3つの基本思想
東洋医学では、
からだの状態を理解するために独自の観察ノウハウを用いています。
① 陰陽論(いんようろん)
すべての事象には「陰」と「陽」の2つの面があり、
そのバランスが保たれている状態が健康であるとする考え方です。
陽: 温かい、活動的、興奮(過剰になると「のぼせ」や「炎症」に)
陰: 冷たい、静的、鎮静(過剰になると「冷え」や「むくみ」に)
陰陽論(いもりょうろん / いんようろん)
陰陽論とは東洋医学の基礎となる思想で、
「自然界や人間の体の中に存在するすべての事象は
『陰』と『陽』という相反する2つの性質に分かれ、
互いに影響し合っている」という考え方です。
この2つの要素が引き合い、支え合いながら
絶妙なバランスを保っている状態が「健康」であり、
バランスが崩れた状態を「未病」や「病気」と捉えます
「陰」は静的で冷たい性質、「陽」は動的で温かい性質を表します。
どちらが良い・悪いということはなく、
「両方が揃って初めてひとつ(全体)になる」と考えます
陰陽の4つのルール(相互関係)
陰と陽はただ二分されているわけではなく、
ダイナミックに変化し合っています。
1. 陰陽対立(たいりつ)
互いに反対の性質を持ち、制御し合っている。
(例:昼と夜)
2. 陰陽互根(ごこん)
一方だけでは存在できない。
(例:光があるから影ができる)
3. 陰陽消長(しょうちょう)
常に両者の割合が変化している。
(例:夏から秋、冬にかけて陽が減り陰が増える)
4. 陰陽転化(てんか)
極限まで達すると、反対の性質に変化する。
(例:高熱が続いた後に一気に体温が下がって冷え切る)
人体における陰陽のバランスと不調
身体の中では、
「陽=身体を温め、活動させる熱力」と
「陰=身体を冷やし、潤す冷却水」が互いを抑制し合っています。

セルフチェック
東洋医学では、病気や体調不良が起きた際に、
からだの反応が「熱・興奮・過剰(陽証)」に傾いているか、
「冷え・沈静・不足(陰証)」に傾いているかを
見極めることが治療や養生の第一歩となります。
現在のあなたのからだの状態がどちらに傾いているか、
セルフチェックしてみましょう。
直近の体調や日常の傾向で、
より多く当てはまる方を選んでみてください。
1. 陽証(ようしょう)チェック
~身体に熱がこもり、活動・過剰・興奮傾向にある状態~
[ 1 ] 顔が赤くなりやすく、のぼせやすい
[ 2 ] 手足や体が火照りやすく、暑がりである
[ 3 ] 喉がよく渇き、冷たい飲み物を好む
[ 4 ] 汗をかきやすく、汗の質がベタついている
[ 5 ] 体温が高め、または炎症(赤みや痛みを伴うニキビ・皮膚炎)が出やすい
[ 6 ] 尿の色が濃く(黄色・褐色)、便秘がち(または臭いが強い便)
[ 7 ] 声が大きく、ハキハキ話す
[ 8 ] イライラしやすく、興奮して眠れないことがある
2. 陰証(いんしょう)チェック
~身体が冷え、機能低下・沈静・不足傾向にある状態~
[ 1 ] 顔色が青白い、またはくすみがちである
[ 2 ] 手足や全身が冷えやすく、寒がりである
[ 3 ] 喉があまり渇かない、または温かい飲み物を好む
[ 4 ] 汗をかきにくい、またはサラサラした冷や汗をかく
[ 5 ] 風邪をひいても熱が上がりにくく、長引きやすい
[ 6 ] 尿が透明で量が多く、頻尿気味(または下痢・軟便になりやすい)
[ 7 ] 声が小さく、ボソボソと静かに話す
[ 8 ] 気力が湧かず、だるさや眠気を感じやすい
判別結果とアドバイス
陽証(熱タイプ)が多い方
体に熱がこもっていたり、
交感神経が優位になりすぎている状態です。
・飲食
体の熱を冷まし、潤いを補う食材
(トマト、キュウリ、豆腐、緑茶、寒天など)
が適しています。
辛いものや揚げ物の摂りすぎに注意しましょう。
・過ごし方
運動などで適度に汗を流して熱を発散させたり、
ぬるめのお湯に浸かってリラックスすることが大切です。
陰証(寒タイプ)が多い方
体の代謝機能や熱を生み出す力が低下し、冷えている状態です。
・飲食
体を内側から温める食材
(生姜、ニンニク、ネギ、根菜類、紅茶、羊肉など)
を積極的に摂りましょう。
冷たい飲み物や生野菜は控えめにします。
・過ごし方
首・手首・足首の「3つの首」を冷やさないようにし、
お腹や腰を温め、睡眠時間をしっかり確保して
エネルギー(気・血)を蓄えましょう。
※注意点(混合タイプについて)
東洋医学では、「上熱下寒(じょうねつかかん)」のように
「上半身は陽証(顔ののぼせ・イライラ)、
下半身は陰証(足元の強い冷え)」が同時に起こる複雑な状態もあります。
迷った場合は「冷たい飲み物が好きか、温かい飲み物が好きか」を
ひとつの大きな目安にしてみてください。

虚実(きょじつ)について
東洋医学では「陰陽」と並んで、
体質や病気の状態を見極める重要な指標が「虚実(きょじつ)」です。
・ 虚証(きょしょう)
体のエネルギー(気・血・水)や抵抗力が不足している状態
・実証(じっしょう)
体に邪気(余分な熱・水分・毒素)が充満・停滞している状態
または抵抗力が強固な状態
一言で言えば、「補う必要がある(虚)」か、
「除く・巡らせる必要がある(実)」かの違いです。
1. 虚証(不足タイプ)
[1] 体力がなく、疲れやすく、風邪をひきやすい
[2] 胃腸が弱く、食が細い(または食後にだるくなる)
[3] 声が小さく、疲れやすいため静かに話す
[4] 便は軟便・下痢気味、または便を出す力がない
[5] お腹をさすったり温めたりすると気持ちが良い(喜按)
[6] 風邪をひくと熱があまり上がらず、長引きやすい
実証(過剰・停滞タイプ)
[1] 体力があり、がっしり体型、または筋肉質である
[2] 胃腸が強く、食欲旺盛で胃もたれしにくい
[3] 声が大きく、張りがある
[4] 便秘がちで、便やガスの匂いが強い
[5] お腹を押されると痛い、または張って不快に感じる(拒按)
[6] 風邪をひくと高熱が出やすく、寒気や痛みが強く出る
虚実の原因と対策
虚証の症状の原因は、必要なエネルギーや水分・栄養の「不足」

